知り合いに消防設備関係のエンジニアで、若い頃にはオーディオに凝り、クルマ一台分くらいのお金をつぎ込んだという人がいる。
若い頃といっても、そうとう昔で、まだアナログレコードの時代であった。彼は高価なアンプに、JBLのハイエンドクラスのスピーカーをつなぎ、隣近所からの苦情に耐えながら、良い音を追求し続けていた。
セッティングをいろいろ考えたり、スピーカーコードを変えてみたり・・・
そうして音は確かに良くなったようであるが、肝心の「音楽」は次第に楽しめなくなってきたのである。
お気に入りのナンバーを掛けても、「シンバルの響きはどうか」とか「ピアノの金属的な響きの部分はどうか」とか、非常に神経質な聞き方になってしまい、細部ばかりが気になって、どうにもリラックスできないのだ。これでは、家にいるときでもエンジニアの仕事をさせられているようではないか。
まさに、「木を見て森を見ず」である。
私は、その方に尋ねてみた。「今はどのようなシステムでお聞きですか?」と。
答えは意外にも、「いや、今はもう、そういうことはやめて、普通のミニコンポで音楽を楽しんでるよ。CDの時代になって、ミニコンポでも結構いい音するしね」ということであった!
BOSEなどの、あるレベル以上のシステムを揃えたなら、あとはスピーカーのことなど忘れて、音楽にどっぷり浸るのがよい。
重箱の隅をつつくようなことばかり言っていたら、いつまで経っても音楽は楽しめないし、やがてオーディオの趣味も苦痛になってくることであろう。
あれこれ考えずに、今所有しているスピーカーの音に身をゆだねてみよう。
それがもし、幸いにもBOSEなら、きっと深いくつろぎを経験することであろう。
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